龍が叫ぶ

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安倍政権の憲法改正の真髄とは⁉️緊急事態条項について。

どうも!龍です!

 

10月24日に召集された第197回臨時国会にて安倍首相が行った所信表明演説。

 

前回のブログにて所信表明演説の要旨を見ながら龍の思う問題点を紹介しました。

 

ryu-ga-sakebu.hatenablog.com

 

その中でもやはり注目しなくてはならない問題点の一つが憲法改正論だと思います。

 

今回の所信表明演説にて安倍首相は

 

「国の理想を語るものは憲法です。

 

憲法審査会において政党が具体的な改正案を示すことで国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく。

 

そうした中から与党、野党といった政治的立場を超えできるだけ幅広い合意が得られると確信しています。

 

そのあるべき姿を最終的に決めるのは国民の皆様です。

 

制定から70年以上を経たいま国民の皆様と共に議論を深め私たち国会議員の責任を共に果たしていこうではありませんか。」

 

と発言しました。

 

 

その場では

 

「違う、何言ってんだよ!」

「勉強し直せ!」

 

などのヤジが飛び交い物議を醸しています。

 

 

そもそも憲法を国の理想を語るものと定義する安倍晋三。

 

憲法論についてはまた後日ブログにて記載したいと思います。

 

 

今日は安倍晋三がこうも意欲を示す憲法改正。

 

今回は自民党の改憲案を見ていきたいと思います。

 

 

憲法改正といえば真っ先に憲法9条改正問題が頭に浮かぶと思います。

 

安倍晋三は憲法9条を改正する趣旨を

 

「自衛隊の違憲論の余地をなくすため」

 

と明言しており、改憲案では新たに9条2項を設け

 

「(2項は)必要な自衛の措置をとることを妨げずそのための実力組織」

 

と位置づけて自衛隊を明記、保持しようとする方向です。

 

 

しかし自民党改憲案の中で憲法9条と共に注視しなくてはならない条項があります。

 

その条項が第99条−緊急事態条項です

 

一言で言えば緊急事態条項とは独裁体制を作りあげる

 

緊急事態条項の当該条文をあげます。

 

《(緊急事態の宣言)

第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。》

 

《(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対しても必要な指示をすることができる。》


《3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。》..


《この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限尊重されなければならない。》


*14条は法の下の平等、18条は身体の拘束と苦役からの自由、19条は思想と良心の自由、21条は表現の自由

 

 


■ 安倍首相が「改憲は緊急事態条項から」と明言!自民党が目論むのはナチスと同じ手口、その危険すぎる中身とは…LITERA 2015.11.12

  • 受け止めとして
    2つほどの危険なものを感じる。
    一つ目だが、立法府たる国会開催をしないで、行政府たる内閣は法律並みの政令制定をする。

「法律と同一の効力を有する」がポイントである。
つまり国会機能は宣言してしまえば、不要だということである。
確かに、非常時では国会議員が全員揃うことが必ずしも期待できないと言われると、そうかもと信じる人もいるかもしれない。
しかし、内閣構成員が、その事態の中で、全員揃う保障はあるんだろうか・・・。

東北3.11大震災の経験が自分たちにはある。
内閣による緊急事態宣言がなくとも、相当数の死者と行方不明者、村落や生産基盤等壊滅の後に、日本人は、地元住民、地方自治体(都道府県や市町村)も、自衛隊復旧復興活動も、すぐさまに立ち上がり、全国からの復旧復興ボランティア、支援が駆けつけた。既往の災害復旧関係法律も、ほぼ円滑に機能した。
事態が、常に対応を心がけている地震国日本でもあったが、思想信条を超えた自然大災害であったからでもある。

二つ目。
国その他公の機関の指示について、最大限に尊重としているものの、具体には法律の定めるところで、平等、思想と良心の自由、表現の自由の他に、身体の拘束と苦役からの自由が制限される。その価値判断が内閣立法法律に任せられるらしい点。

 

  • ドイツの緊急事態法制のこと
    LITERAの4ページ目に次のようなドイツの解説が付記されている。
    ・・・・ 1919年のドイツで制定されたワイマール憲法(第48条)では、公共の安全・秩序に重大な障害が生じた場合、または「その恐れがあるとき」、大統領は武力兵力を用いて緊急措置を取ることができ、この目的のためには、人身の自由、住居の不可侵、親書・郵便・電信電話の秘密、意見表明の自由等の7か条の基本権の全部または一部を一時的に停止しうるとしていた。

・・・・ この規定が乱用され、後のナチス支配への道を開くことになったことは、歴史が教えてくれている。世界各地で見られるクーデター後の軍事独裁政権が主張するのも、この国家緊急権だ。

 

自民党改憲草案98、99条は、ワイマール憲法第48条に類似した効力を発揮するものと思う。
そして、その結果も、ナチスドイツと同じ結論を引き起こすものだと直感せざるを得ない。

その点、14条法の下の平等、18条身体の拘束と苦役からの自由、19条思想と良心の自由、21条表現の自由を「最大限尊重」という但し書きがあるから安心なのだろうか・・・。
これは、誰が制限の主体で、どんな価値観・判断基準により発令するのかによるであろう。
法律の効力を有する政令を内閣が決定するのであるから、時の内閣の価値基準により制限発令。
つまり、いったん緊急事態宣言をしてしまえば、時の内閣のフリーハンドでやれるということである。


  • 議会の合同委員会によるドイツ

下のフォーラムのQ&Aにて、極く僅かに触れてある。

ドイツにおいても、緊急事態において国が、私権制限やるのだが、仮に議会招集が不可能な際には、あらかじめ選ばれている16名の議会議員による合同委員会が対処する仕組みが規定されている。
日本の自民党草案のように、内閣による緊急事態宣言一つで内閣という行政府が立法府権限を吸収するという、全権限一元化のやり方では無い。

決定権の所在が、ドイツは、全く異なるんだということである。

■アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム 2013年12月25日更新

A4:現在世界では、ほとんどの国の憲法に緊急事態条項が盛り込まれており、それに基づく各種法律が制定されています。特に先進国においては日本だけがこうした法律が制定されていない状況です。

 

 特にドイツは、日本と同様に第二次大戦の敗戦国であり、国民や諸外国がナチス支配の再来を恐れたため、国家緊急権の制定に対しては強い抵抗がありました。それでもドイツ議会は、これが独立国家には必ず必要な内容であるとして議論を繰り返しました。そして1968年、ついに憲法の第17次改正で国家緊急権を盛り込むことになりました。

 

 ドイツ憲法では国家緊急権を発動する要件について、自然災害など国内の要件による「内的緊急事態」と、外国からの攻撃などによる「外的緊急事態」に分類しています。「外的緊急事態」に関しては、緊急度の内容に応じて四つの事態を分類し、それぞれの事態における首相の権限、私権の制限、国民の協力義務の程度などが定められています。さらに、もし戦争の被害などによって議会の招集が不可能になれば、あらかじめ選ばれている16名の議員による合同委員会が立ち上がり、迅速な対応を行うことができるようになっています。

 

 緊急事態に備える体制を準備することは独立国家として当然のことです。日本も早くこうした体制を整えるべきです。

 

 

もう一つ、HPが不詳で単なるWORD文書が見つかった。
極くアウトラインの摘要を一覧表として整理しているものだが、ポイントだけを整理したものであるため、入門編として、下にそのままあげておきたい。


(緊急事態法制)

先の大戦の反省を踏まえ、政府による権限濫用を防止するため、原則的には政府の措置を立法・司法の統制下に置くこととしている。

基本法(憲法)には、円滑に対処態勢を確立できるよう、脅威の度合い・内容に応じて事態が細分化され、それぞれの事態ごとに議会が行う事態の認定の要件、政府がとり得る非常措置の発動の内容などが明示されており、また、議会が政府の非常措置を統制する。

その非常措置の発動と連動した様々な政府の具体的措置は個別の法制で規定される。例えば、国家防衛の任務遂行にあたっての法的な規制緩和のため、道路交通規制法、航空法・航空交通法などでは、特例措置や適用除外が定められている。また、民間人の保護や国家防衛のための役務の義務付けに関しては、基本法のほか、食糧確保法、エネルギー安定法、郵便・通信確保法などに規定されている。

(民間防衛体制)

1968年の第17次基本法改正により、緊急事態は、外的緊急事態(外国からの攻撃など国外における要因により生じたもの)と内的緊急事態(自然災害など国内における要因により発生したもの)に分けられ、抵抗権に関する規定がされている。

第17次基本法改正によって追加された規定は、一般に「緊急事態憲法」と呼ばれ、非常措置の濫用により政府の独創を許すことがないよう、政府単独による緊急命令の発布が認められていない。また、いかなる非常時においても政府の措置が立法・司法のコントロールの下に置かれる仕組みとなっている。

1997年に市民保護再編法が制定され、内務省・連邦行政管理庁内に民間防衛専門部局である「市民保護本部」を設置。その下で軍、警察、地方自治体と連携しながら、民間防衛の基盤となる自主防災組織を全国展開している。

 

基本が、政府権限の濫用防止。議会、司法のコントロール下である。
ナチスヒトラーの全権委任法から独裁への発展を体験した反省が、ドイツをそうさせているのである。
日本国もまた、ポツダム宣言受諾等による降伏を機会に、軍事内閣「一億総火の玉」を反省したはずなんだが・・・、とんとその記憶が無い自民党改憲草案だという印象がする。

  • 感想

自民党改憲草案は、議会と司法を度外視して、宣言~法律並み政令(立法権)~行政府としての実行を内閣に一元化するもの。
ご注意願いたいが・・・内閣の構成員でなければ、人間では無いということ。
政治思想の如何を問わず、幻に見てはならない。
野党議員のみならず、自民党議員も自民党総務会もその中に含まれた単なる動物だということである。
歯止めが何ら無く、停止信号機が無い新幹線並みである。

極めて怖い憲法条項というしか無い。
「最大限尊重」(厳守ではない)という一言が入っているものの、その判断権も行政府、内閣ないしは時の総理の価値判断に委任するものであるようだ。

ドイツのような事細かい明文法律ではないことでもあり、結局は、ナチスヒトラーの全権委任法と同じ結果になる。
かなり怖い98条、99条だと思う。